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水野里奈個展 絵画とドローイングの境界線

2016年06月15日号

会期:2016/04/13~2016/05/20

第一生命ギャラリー[東京都]

これはにぎやかで華やか。リキテンスタインばりの骨太なブラッシュ・ストロークを流水や木の幹に見たて、筆触を生かした緻密な花模様やボカシを利かせたストライプで画面を埋め尽くし、家具や建物の一部も顔をのぞかせる。具象抽象が入り交じった日本画にも通じる装飾的な画面で、なにより色彩が美しい。はて、どこかでよく似た作品を見たことあるなあと思ったら、トーキョーワンダーサイトでやってた田中里奈だ。名前も同じ里奈。調べたら、なんと生まれは1年違いだが、同じ愛知県生まれで、同じ年に名古屋芸大洋画2コースを卒業した同窓生ではないか。違いがあるとすれば、田中が余白を生かそうとするのに対して、水野は画面を埋め尽くそうとすることか。いやあ驚いた。

2016/05/13(金)(村田真)

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