artscapeレビュー

チリ33人 希望の軌跡

2016年06月15日号

実際に起きた炭鉱事故を題材とした映画『チリ33人 希望の軌跡』は、『白鯨との闘い』を想起させるチームによるサバイバル状況を描いた作品である。ただ、途中で地下の閉じ込められた空間に33人がまだ生存していることがわかってからは、『オデッセイ』と同様、物語は世界が結集する外部からのレスキュー大作戦に変わる。何もしようとしなかった会社に対し、家族が運動を起こし、メディアに火をつけ、政治の問題に変わり、世界の注目を集めたことによって、彼らの奇跡的な救出が可能になった経緯がよくわかる。

2016/05/01(日)(五十嵐太郎)

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