artscapeレビュー

クリーピー 偽りの隣人

2016年06月15日号

黒沢清監督の『クリーピー 偽りの隣人』は、当たり前の日常がずれて、いつの間にかそうでなくなる怖い映画である。主人公の職場として山本理顕が設計した埼玉県立大学が登場するが、部屋の向こうも見えるその透明な空間とは対照的に、プライベートな家屋の密室性が際立つ。親密な場所の奥底が反転していく感覚は、フロイトの提唱した「不気味なもの」と通底するものだろう。

2016/05/12(木)(五十嵐太郎)

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