2020年11月15日号
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artscapeレビュー

ル・コルビュジエ『マルセイユのユニテ・ダビタシオン』

2010年03月15日号

発行所:筑摩書房

発行日:2010年2月9日

本書の原書は、マルセイユのユニテ・ダビタシオンが竣工された1950年に出版された。1955年に坂倉準三による邦訳が丸善より出版されたが、現在は入手困難であり、今回、山名善之氏と戸田穣氏による再訳に至ったという。正直、ル・コルビュジエのフランス語は非常にクセがあり、邦訳の訳文はつねに難しくならざるを得ないと思っていたが、本書ほど読みやすく頭にすっと入ってくるル・コルビュジエの訳文はなかなかないだろう。またその本文もさることながら、山名善之氏による長文の訳者解説が圧巻であり、フランスの集合住宅の系譜を、19世紀の空想社会主義やシテ・ナポレオンなどからたどりつつ、丁寧かつ正確にル・コルビュジエによるユニテ・ダビタシオンを20世紀の大衆社会に位置づけていた。あわせて読むことで、フランス近現代社会におけるル・コルビュジエの活動の意義を知ることができるだろう、良本である。

2010/02/25(木)(松田達)

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