artscapeレビュー

メタル放送大学

2010年03月15日号

会期:2010/02/13

横浜創造界隈 ZAIM[神奈川県]

かつてこれだけゲストが蔑ろにされたイベントも珍しいだろう。筆者は、音楽におけるメタルとは何かということもよく分かっていないのであるが、たまたま機会があってこのイベントを会場で見ていた。呼ばれたゲストは登場時の拍手もない、発言の機会も最後まで少ない、ゲストの何人かは用意してきたネタも披露できないまま終わってしまうなど、イベントとして多くの不備があったと感じざるを得なかった。メタルに関して多少知識が増えたことは良かったけれども、まるで主催者側がゲストであるかのようなイベントにも感じた。ネガティブであるけれども触れるのは、ustreamなどでもすでに公開中継をしていたし、また筆者は会場で会費を払って見ていたためでもある。加えて、音楽イベントでありつつ、建築系のゲストが多かったからでもある。
さて、この経験を誰がどう活かすべきか。五十嵐太郎氏もツイッターなどで書いていたように、特にこれからイベントを企画する学生などが、反面教師とすべき点は多いだろう。ところで、筆者がむしろ興味深く思ったのは、このイベントがutream+twitterという、ここ半年ですでにイベントの標準と化した方法で外部に発信しており、途中外野からイベントの進行に対する問題を指摘する書き込みが山ほどあったにも関わらず、それがまったく機能しなかった点である。会場ではそのコメントが後ろの画面に投影されてもいた。個人的にはなんだかんだと楽しんで見ていた側であり、主催者側も苦労しつつのことであったと思うが、特にさまざまなイベントが増えつつある建築分野において、このようなイベントから、メディアを誰が何の目的で使うのかということに関して学ぶことは、とても多いのではないかと思った。主催者には、ぜひ次回以降、より良いイベントを続けて頂きたい。

http://www.akumanoshirushi.com/metal2.htm

2010/02/13(土)(松田達)

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