artscapeレビュー

京都市立芸術大学作品展

2010年03月15日号

会期:2010/02/10~2010/02/14

京都市立芸術大学[京都府]

京都市立芸術大学の全学生が発表する毎年恒例の作品展。新鮮な印象の作品には今年はあまり出会えなかったが、それでも学生たちの制作意欲や発表に対する真摯な姿勢がうかがえて、見ていて清々しく楽しい。マンガ雑誌のコラージュを下地に、アクリル絵の具で色面構成した作品を発表していた油画コース4回生の奥村昌哉、修士2回生の村瀬裕子の、見立ての風景のように種子や野菜などの植物をモチーフに描いた作品が記憶に残った。また、一連の絵画の断片的な物語要素をつなぎ、想像を誘発する劇場的なインスタレーションを展開していたのが厚地朋子。現在開催中の「絵画の庭」展(国立国際美術館)では、昨年の学内展で発表されたものも展示されているが、それとはまったく異なるトリッキーな性質がうかがえた。ぜひいつか話を聞いてみたいと作家本人への興味も湧いてくる。

2010/02/14(日)(酒井千穂)

2010年03月15日号の
artscapeレビュー