2020年11月15日号
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artscapeレビュー

物からモノへ モノ学・感覚価値研究会、展覧会

2010年03月15日号

会期:2010/01/16~2010/01/31

京都大学総合博物館[京都府]

「もののあはれ」に象徴される日本文明のモノ的創造力と感覚価値を検証し、「モノ」と「感覚価値」をあらゆる角度と発想から考察する、という「モノ学・感覚価値研究会」の研究成果発表として開催された。会期中はシンポジウムやワークショップ、レクチャーなど、関連企画もいろいろ開催されていていたのだが、結局出かけたのは最終日。しかし運良く会場では、ちょうどクロージングイベントが始まったところだった。宇宙をイメージしたCG映像を背景に、宗教学者の鎌田東二が神主の白装束姿でホラ貝を吹き、ギターを演奏しながら歌う。そのなかで観世流能楽師の河村博重が能舞を披露。神秘的というよりも可笑しいのだけれど目は釘付けになった。その後展覧会場へ。展示ケースには絵画から、陶芸、詩といったものまでさまざまな作品が展示されているのだが、もともと博物館が所蔵する化石や土器などの資料も使って新たなイメージを創出するという展覧会で、まさに混とんの有様。ただ、文脈の異なるものが並列した展示を見つめていると、言葉の連想が広がりたしかに面白い。展示を見ながら想像の広がりによってモノのイメージやそれまでの認識がくずれたり、変化していく過程を楽しんだ。楽しみにしていたのは大舩真言の作品展示だったのだが、展示ケースのガラスに反射する照明の光が邪魔してどの角度から見ても、その微妙な表情が解りにくい。今展のテーマに沿って大舩が試みたインスタレーション自体は時間性を孕んだ興味深い主題だったので、それが発揮されておらず残念。

2010/01/31(日)(酒井千穂)

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