artscapeレビュー

2013年07月15日号のレビュー/プレビュー

《神戸港震災メモリアルパーク》(1997)

[兵庫県]

神戸の海沿いの近代建築を見つつ、メリケンパークの破壊された波止場をそのまま保存した神戸港震災メモリアルパークを訪れた。あの瞬間から時が止まったままの場所である。1995年に震災から2週間後にメリケンパークを訪れたことも思い出す。しかし、逆に言うと、これ以外にここで阪神・淡路大震災の記憶を見つけることができない。これは震災から2年半後の1997年7月完工の施設だから、東日本大震災ももうすぐその時期を迎える。

2013/06/02(日)(五十嵐太郎)

《KIITO(デザインクリエイティブセンター神戸)》

[兵庫県]

デザイン・クリエイティブセンター神戸のKIITOを見学する。生糸検査所として使われていた近代建築をリノベーションしたものだ。すでに建築、編集、デザインなどの事務所はいろいろ入っているが、全体の規模が大きいこともあり、まだ完全に施設をフル稼働という感じではない。ただ、天井が高いホールやギャラリーの空間はなかなか魅力的で、ポテンシャルをもった施設である。現代美術の大がかりな展示にも相性がよさそうだ。

2013/06/02(日)(五十嵐太郎)

ヤノベケンジ「サン・チャイルド」

[大阪府]

阪急南茨木駅の前のロータリーに、震災後の希望を示す子どもの立像のモニュメント、ヤノベケンジによるサンチャイルドが常設のパブリックアートとして設置されている。先に見た岡本太郎記念館の庭や福島空港の室内に比べると、まちの屋外に立っているのは、のびのびとして気持ちがいい。茨木市教育委員会の平成23年度彫刻設置事業らしい。これでヤノベとゆかりが深い万博会場に近い場所で、いつでも見ることができる状態になった。

2013/06/02(日)(五十嵐太郎)

「印象派を超えて──点描の画家たち」記者発表会

会期:2013/06/05

国立新美術館[東京都]

10月4日から国立新美術館で開かれる展覧会の記者発表。まだ4カ月も先のことだし、これから暑くなる時期に秋口の話をされてもなあ的な冷めた空気も漂う。展覧会のモネ、スーラ、ゴッホ、ドランと続く点描表現の流れは教科書的だが、モンドリアンの初期だけでなく幾何学的な色面抽象まで点描の延長として位置づけた点がユニーク。たしかに3原色の独立した配置は点描に通じるかも。しかし初期の点描風のマティスが出ないのは画竜点睛を欠かないか。そもそも出品作品の大半は、オランダのクレラー・ミュラー美術館のコレクションからで、「点描」でまとめるというアイディアも美術館側からの提案だったらしい。クレラー・ミュラーといえば日本でたびたび開かれる「ゴッホ展」の供給元として知られる美術館。日本にとってはありがたい存在であるが、クレラー・ミュラーからすれば日本はいいお得意さんに違いない。こうして西洋美術の需給のバランスは保たれているんだね。

2013/06/05(水)(村田真)

笹井青依「Camellia」

会期:2013/06/04~2013/08/10

アンドーギャラリー[東京都]

案内状の絵を見て、以前「五美大展」で見た作品を思い出した。プリミティヴな木の絵なんだけど、葉っぱがカツラのように描かれてるのと、色彩が美しい中間色だったのでよく覚えている。今回もその延長線上の作品で、50号と150号が4点ずつ、ドローイング3点の展示。背景はいずれもグレーだが、斜め方向に濃淡をつけてるので風が吹いてるように感じる。幹と枝はベージュ、葉っぱは緑灰色で、これが木の葉というより髪の毛みたいに見え、ユーモラスかつ不気味でもある。モチーフは木だけで(なぜか2本か4本)、色彩は2、3色のみというシンプルさ。にもかかわらず不思議と惹きつける絵だ。作者がどれだけの力量をもっているのか、ほかの絵を見てみたい気もするが、まだしばらくこれでやってもらいたい気もする。おのずと変わっていくかもしれないし。

2013/06/07(金)(村田真)

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