artscapeレビュー

2013年09月15日号のレビュー/プレビュー

横尾忠則 日本の作家222

会期:2013/08/19~2013/09/14

南天子画廊[東京都]

222人の日本の文学者のポートレートを収めた画集『日本の作家222』の出版に合わせた展覧会。森鴎外や夏目漱石など明治の文豪から、安部公房、澁澤龍彦、中上健次まで、4号(33×24cm)のキャンバスに描かれた222点が一堂に展示されている。モノクロあり蛍光色あり、リアリズムあり線描画あり、ウォーホル風ありホックニー風ありとスタイルは千差万別だが、当然ながらみんな横尾っぽい。横尾っぽいとはよくも悪くも素人っぽさを残してるということ。喜寿を迎えるというのに、画家宣言30年を超えるというのに、いまだ素人っぽいというのはスゴイことだ。

2013/08/29(木)(村田真)

國安孝昌展《静かに行くこと、遠く内省すること》

会期:2013/08/26~2013/09/14

ギャラリーなつか[東京都]

最初にギャラリーなつかで國安の作品を見たのは88年だったか、小さな陶ブロックを何千個も積み上げた物量感に圧倒されたものだ。そのころから丸太は使われていたが、國安といえばかつて「陶芸作家」に分類されたこともあるくらいで、丸太はあくまで補助的なものだった。やがて丸太の量が増すにつれ形態は螺旋状、カプセル型、鳥の巣状と多様化し、ダイナミズムを生むようになる。むしろバリエーションを増やすために丸太を多用したのかもしれない。陶ブロックだと積み上げる以外にバリエーションはないから、徐々に陶の存在感は減り、すっかり逆転してしまった。今回のインスタレーションも空間が歪むほどの圧倒的存在感だが、陶ブロックは丸太を組んだ隙間に差し挟まれるだけのチョイ役に甘んじている。丸太を使うアーティストは多いけど、陶でインスタレーションする人はあまりいないからちょっと残念に思っている。

2013/08/29(木)(村田真)

ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー「嬰ヘ短調の実験」

会期:2013/08/07~2013/10/19

ギャラリー小柳[東京都]

薄暗いギャラリー内に大きなテーブルが置かれ、その上に約40個の大小さまざまなスピーカーが上向きに並べてある。遠目に見ると陶器の展示みたいだが、ひとつだけ旧式のラッパ型のスピーカーが鎌首をもたげるようにこちら(正面)を向いている。近づくと音楽が聞こえてくる。周囲を動き回ると音が変化する。人の影を感知するセンサーで制御しているらしい。あいちトリエンナーレでは旧作が出ていてガッカリしたが、これは初体験。肝腎の音だけでなく、ヴィジュアル的にもシンプルで洗練されている。

2013/08/29(木)(村田真)

渋川駿「ひとって、なに」

会期:2013/08/26~2013/08/31

ギャラリー58[東京都]

具象とも抽象ともつかない形象がゴチャゴチャと描かれた大作絵画。いちばんの特徴は、描かれたキャンバス布を木枠から外して展示していること。搬入に便利なように木枠から外したのかと思ったらそうではなく、まだ学生なので金がなく、木枠を使い回しているからだそうだ。でも描くことに集中してるせいかそのへんの自覚があまりなく、キャンバスの周囲の余白をどう処理するかとか、木枠なしでどう展示すべきかといったことには無頓着だ。そもそも金がないならキャンバスを木枠に張らず、壁に貼ったり床に置いたりして描くことだってできるんだから。それによって描く内容も変わってくるはず。絵画はそうした形式面からもういちど追求していく余地がある。

2013/08/29(木)(村田真)

スター・トレック イントゥ・ダークネス

会期:2013/08/23

映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』を見る。派手なアクションもありつつ、でもSF的なギミックではなく、人間ドラマの力で最後まで物語の推進力を維持していた。9.11のテロや福島の原発事故を連想させるシーンもある。人類を襲うカーンはもっと強烈なキャにもなりえたかもしれない。モダニズムをベースとした建築だが、リチャード・マイヤーが設計したゲティ・センターが本部になっていた。

2013/08/29(木)(五十嵐太郎)

2013年09月15日号の
artscapeレビュー