artscapeレビュー

2013年09月15日号のレビュー/プレビュー

久留米の建築

[福岡県]

久留米へ。ここではホールや庁舎など、地元出身の菊竹清訓ほかの建築めぐりを行なう。また、ここを拠点に企業を発展させた石橋正二郎関係の近代建物がよく残り、さらに文化センターが市民にも親しまれていたことを知る。ちなみに、ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館や国立近代美術館も、石橋氏の寄付によって建設されたものだ。こうしたアート関係の建築支援は、いまだとベネッセを思い出すが、これは国レベルの貢献だ。

写真上から、《石橋文化センター》、《久留米市庁舎》

2013/08/23(金)(五十嵐太郎)

特別展「山岡+石橋コレクションでみる 洋画家たちの明治」

会期:2013/06/22~2013/09/01

石橋美術館 本館・別館[福岡県]

かつてはピロティ形式の近代建築だったが、いまは落ち着いた外観にリノベーションされた石橋美術館の「洋画家たちの明治」展は、山岡と石橋コレクションを軸に構成したもの。地元ゆかりの青木繁らも取り上げつつ、教育、西洋留学、展覧会制度など、8つのテーマから、新しい画法の受入れに努力した明治期の絵画を紹介する。それぞれの作家の興味深いエピソードもあわせて楽しめる内容だった。

2013/08/23(金)(五十嵐太郎)

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鉄川与助《今村カトリック教会》(1913)

[福岡県]

久留米の隣町、《今村カトリック教会》が素晴らしい建築だった。前々から大工の鉄川与助の手がけた教会を見たいと思っていたが、初めて実現した。田園風景のなかで想像以上に大きい教会がたっており、驚かされた。ちょうど100年前の竣工なのに、使い手に愛される宗教建築だからなのか、保存状態がよく、いまでも瑞々しい。デザインが巧いとか、そういうのではなく、気迫というか情熱を感じる建築である。

2013/08/23(金)(五十嵐太郎)

久留米市総合都市プラザ プレ事業 五十嵐太郎氏特別講演会「文化によるまちづくり」

会期:2013/08/23

えーるピア久留米 視聴覚ホール[福岡県]

久留米では、総合都市プラザ・プレ事業の講演会「文化によるまちづくり」を行なう。あいちトリエンナーレを軸に語ったが、芸術祭の成功をどう判断するかという会場の質問に対し、以下のように回答した。1. 行政レベルでは目標入場者数の達成。2. 個人レベルではテーマの実現度と作品のクオリティ。3. 歴史的には今回の若手作家が将来活躍すること。

2013/08/23(金)(五十嵐太郎)

大竹伸朗《女根/めこん》

会期:2013/07/20~2013/09/01

女木島 女木小学校[香川県]

瀬戸内国際芸術祭2013(夏会期)開催中の女木島へ。休校中の女木小学校の中庭で制作展開されている大竹伸朗の《女根/めこん》は、植物の生命感にインスパイアされた作品。赤いブイの上には島に生息していた大きな椰子、その周囲にさまざまな植物やオブジェ、タイルの作品などが配されている。私は瀬戸内国際芸術祭2013(春会期)がオープンした直後にも訪れたのだが、あたり一帯のさまざまなものが増殖、繁茂してまるで違うイメージに進化(?)しているのに驚いた。急速にパワーアップした生命感と勢いのある賑やかなインパクトも凄い。一度訪れた人も何度も見に行く価値があると感じた作品。今後の変化が気になる。私もできるなら秋シーズンにも見に行きたい。


展示風景

2013/08/24(土)(酒井千穂)

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