児玉靖枝「深韻──水の系譜」:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
次回9月3日更新予定

artscapeレビュー

児玉靖枝「深韻──水の系譜」

2013年10月15日号

会期:2013/09/02~2013/09/14

Oギャラリーeyes[大阪府]

これまでにも発表されてきたシリーズ「深韻」の新作が展示された児玉靖枝の個展。油彩と木炭によるドローイングをあわせた10点が並んだ。霧が立ちこめる雑木林の光景を描いた《深韻──水の系譜(霧雨)》のシリーズの湿度感や空気の重量感、水面に映る木々のそこはかとない存在の描写にも魅了された。画面全体には、まさに靄や霧のように、グレーやブルーの色味を帯びた淡く鈍い色彩が広がっているのだが、幾重にも塗られた色の層が醸し出す空間的な奥行きが深く、神秘的でもあり、見ていると画面のなかへと誘い込まれていく。日常で目にする光景に目には見えない気配をふと感じたときの感覚、その感動を丁寧に表現しようとする作家の真摯な制作時間にも思いが巡る、味わい深い個展だった。

2013/09/14(土)(酒井千穂)

2013年10月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ