2018年06月15日号
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artscapeレビュー

黄金町バザール2013

2013年10月15日号

会期:2013/09/14~2013/11/24

京急日ノ出町駅から黄金町駅間の高架下スタジオなど[神奈川県]

アジアを中心に内外16組のアーティストが参加。以前の作品も含めて20作家以上の作品が京急沿線の黄金町界隈に展開している。展示場所は元売春宿の小さな建物が多く、狭く込み入った空間をいかに生かすかが見どころのひとつだ。鎌田友介は天井をブチ抜いて細いL字鋼と角材を組み上げ、蛍光灯や都市の写真などを差し挟んだインスタレーションを発表。吹き抜けの空間全体が作品化されていた。台湾から来たタイ・ハン・ホンも建物全体をインスタレーションしたもので、1階も2階もドアを開けると金色の重石が上がり、奥の壁がギィーッと開く仕掛け。一種の「からくり屋敷」で、よくできている。一方、太田遼の部屋にはなにもないが、奥の狭い中庭を見ると周囲がトタン板で囲まれている。部屋に作品を置かず、中庭を「中部屋」に変えてしまったのだ。この3人は場所の読み方、空間の裏返し方がうまい。タイのトーラープ・ラープジャロエンスックは駐車場の壁にタブローや刺繍した布などを描き、本物のタブローも並べている。かたわらの記名ノートや寄付箱なども手描き。とにかく四角いものならなんでも絵にしてしまう。これは共感するなあ。緊急参加した韓国のユ・ソラは、身近な日用品の輪郭を刺繍する。刺繍は近年よく使われる手法だが、彼女は柔らかい表面に刺繍するためゆるやかな凹凸があり、古代のレリーフ絵画を思い出させる。さて、オープニングには市長以下、県警幹部や議員などエリャー人たちが集まり、乾杯前のあいさつだけで30分以上費やしていた。行政の並々ならぬ関心の高さがうかがえるが、そのわりに展覧会は話題になっていないなあ。彼らから見ればこれは展覧会というより、「環境浄化」という仕事なんだろう。

2013/09/13(金)(村田真)

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