2018年01月15日号
次回2月1日更新予定

artscapeレビュー

2017年07月15日号のレビュー/プレビュー

シンガポール現代建築─リベスキンド、ザハ・ハディド、OMA

[シンガポール]

その後、サークル線に沿って、各地の現代建築を見学する。いずれも遠景から眺めたが、リベスキンドの《レフレクションズ・アット・ケッペル・ベイ》、オレ・スケーレンによる《インターレース》、ザハ・ハディドの《ドリードン・コンドミニアム》は高層の集合住宅なのに、強烈な造形だ。ほかにホランド・ヴィレッジの《ラッフルズ・ホランドV》、ブオナ・ヴィスタの《ザ・スター》、黒川紀章の《フュージョノポリス》、コンテナ利用のティンブレ・プラスなども立ち寄る。どれもこれも、いまの日本だと怒られそうなインパクト重視の外観だ。難を言えば、フォトジェニックだけど、空間があまりないことか。ともあれ、超人工的な景観と豊かな自然が共存するのが、21世紀のシンガポールだ。

写真:左上から=《レフレクションズ・アット・ケッペル・ベイ》《インターレース》《ドリードン・コンドミニアム》 右上から=《フュージョノポリス》《ラッフルズ・ホランドV》《ザ・スター》

2017/06/13(火)(五十嵐太郎)

セントーサ島

[シンガポール]

セントーサ・エクスプレスに乗って、対岸の島に上陸する。ユニバーサル・スタジオや水族館、アドヴェンチャー・コーブ・ウォーターパークなど、各種のポストモダン的なアトラクションだらけのリゾート地である。島全体がエンターテイメントの場所として人工的に計画・開発されている。ダニエル・リベスキンドのコンドミニアムも、この水際から眺めるのがベストショットだった。セントーサ島で笑っちゃうのが、丘をのぼって、島の中心部にそびえたつ高さ37mのセントーサ・マーライオンである。マーライオンを巨大化したものだ。リゾートワールド・セントーサはいわば借り物のデザインだが、これはシンガポールのオリジナルである。強力なアイコン建築ゆえに、スケールレス感が際立つ。日本で言えば、巨大仏像がこれに近いだろうか。

写真:左上から=セントーサのモール、アドヴェンチャー・コーブ・ウォーターパーク、ホテル 右上から=セントーサ・マーライオン、水族館

2017/06/13(火)(五十嵐太郎)

伊東豊雄《ビボ・シティ》

[シンガポール]

日本では高層ビル、タワーマンション、大型商業施設をアトリエ系の建築家が手がけることは絶対にないが、シンガポールではまったく状況が違う。伊東豊雄による《ビボ・シティ》は、丸みを帯びたショッピング・モールだが、基本的には天ぷら建築である。日本で雑誌を見ると目くじらを立てるかもしれないが、向かいの島はテーマパーク群だし、まあそんなものかと思わせる雰囲気だ。確かに、このエリアは人工的な楽園の環境であり、同じ天ぷら建築でも《ビルバオ・グッゲンハイム》の方が、周辺環境との文脈はつくりやすい。

2017/06/13(火)(五十嵐太郎)

リトル・インディア

[シンガポール]

リトル・インディアは、テッカセンターの市場、スリ・ヴィラマカリアマン寺院、タン・テンニアの邸宅跡など。極彩色の装飾やカラフルな色使いが特徴となる街並みだった。そしてどこからともなく匂いが漂う香料がインドらしさを醸し出す。

写真:左上から=テッカセンターの市場、スリ・ヴィラマラリアマン寺院 右2枚=タン・テンニアの邸宅跡

2017/06/13(火)(五十嵐太郎)

八木進「CINEMA PARFUM 子供のころ、映写室を愛したように」

会期:2017/06/09~2017/06/15

富士フイルムフォトサロン東京 スペース2[東京都]

2012年に設立された東京カメラ部は、インターネット上で展開されている写真専門の投稿サイトである。毎年、投稿作品の人気投票を行なって「10選」を選び、渋谷ヒカリエで展覧会を開催している。今回、富士フイルムフォトサロン東京で個展を開催した八木進の「CINEMA PARFUM」のシリーズは、2015年に46万点のなかから「10選」に選ばれた作品だという。つまり、SNSの仮想空間から生まれてきた写真表現を、写真展のかたちに落とし込むという、なかなか興味深い試みだった。
作品自体は、閉館が決まった「約40年前に父が建てた映画館」で、息子をモデルに撮影したフォト・ストーリーで、モノクロームの写真を中心にしっかりと組み上げられていた。映写室の独特の雰囲気がうまく活かされていて、銀塩プリントのクオリティも申し分ない。写真展としては上々の出来栄えなのだが、せっかくの東京カメラ部とフジフイルムの共同企画という意味合いはやや薄れてしまった。むしろ、SNSで見る写真のあり方を、展示にももっと積極的に取り込んでもよかったのではないだろうか。写真展の概念を壊すような展示を期待していたのだが、やや肩すかしだった。ただ、インターネットの空間から、八木のような「写真作家」が出現してくるということ自体はとても面白い。SNSの参加者と写真展の観客とのあいだの回路をどのように構築していくかが、今後の大きな課題になりそうだ。

2017/06/14(水)(飯沢耕太郎)

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