2019年09月15日号
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artscapeレビュー

秦雅則「秦雅則+端間沙織」

2011年06月15日号

会期:2011/04/29~2011/06/04

artdish[東京都]

企画ギャラリー・明るい部屋の2年間の活動を終えた秦雅則が、東京・神楽坂のカフェ・ギャラリーでの個展で再始動した。
女の子の顔や体のパーツ(男の子らしき部分もある)をくっつけたり削ったりして、架空の「端間沙織」という人造美少女を作り上げていく。眼や口元や髪の毛が微妙に変化しながら、闇の中で次第に形をとっていくプロセスが、枝分かれしていく複数の写真群の形で提示されている。見ているうちに、吐き気をともなうような気持ち悪さがこみ上げてくる。青柳龍太によるテキストが、そのなんとも怪しげな、「居心地が悪い」感覚をうまく表現していると思う。
「離れないかわりに、近づけない。傷つけないし、傷つかない。そこは、多分居心地が悪い。そこは、きっと居心地が悪い。」
若者たちを取り巻いている、うっとうしい閉塞感を引きずった“性”の状況を、秦ほどリアルかつ的確に掬いあげているアーティストはほかにあまりいないのではないだろうか。企画ギャラリー・明るい部屋での経験を活かしつつ、次のステップに踏み出していこうとする意欲がよくあらわれた展示だった。なお、会場の近くのスペースでは「松本力+秦雅則in 青柳龍太=手書きアニメーション+写真=インスタレーション」の展示も行なわれていた。こちらは古い寮の建物の雰囲気をうまく取り込んだインスタレーション作品である。

2011/05/10(火)(飯沢耕太郎)

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