2019年09月15日号
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artscapeレビュー

浜田涼「PLATFORM 2011 距離をはかる」

2011年06月15日号

会期:2011/04/16~2011/05/29

練馬区立美術館[東京都]

「現代美術で考え、現代美術を実感する場」として昨年から東京・中村橋の練馬区立美術館で企画・開催されている「PLATFORM」のシリーズ。今年は浜田涼、小林耕平、鮫島大輔の3人がそれぞれ個展を開催した。昨年の寺田真由美に続いて、今年も写真を使う浜田涼が選ばれているのが嬉しい。
浜田は1990年代から、基本的にピンぼけの写真の作品を発表してきた。ボケたり、ブレたりする写真を作品に取り入れる写真家はかなりたくさんいる。だがその多くは、光量が不足していたり、被写体が動いたりすることでたまたまできあがった写真であり、浜田のように「意図的に」その効果を用いている作家はあまりいないのではないだろうか。つまり、彼女はむしろ「日常生活はいろんなものの端っこが混じり合いぼんやりとして曖昧なものだらけで出来ている」という認識を作品化して証明するために、ピンぼけの効果を徹底して利用しているわけで、その作品は一貫したコンセプトに基づいている。「写真家」の仕事としてみるとやや物足りなさを感じてしまうのはそのためかもしれない。写り込んでいる被写体のあり方に鋭敏に反応するよりは、「図柄」としての視覚的効果を重視しているように見えてしまうのだ。浜田の作品は写真をメディウムとして使用してはいるが、やはり「画家」の仕事といえるだろう。
ただ、身近な人物の顔が写ったスナップ写真を素材にした「大切な人の写真を持っていますか? その写真の表情以外に、その人の顔を思い出せますか?」(2001年)という長いタイトルのインスタレーションには、ほかの作品とは違った可能性を感じる。素材になっている写真群と浜田自身との間の「距離」を、より生々しく実感できるからだ。この方向に展開していく仕事を、もう少し見てみたい気がする。

2011/05/14(土)(飯沢耕太郎)

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