2019年07月15日号
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artscapeレビュー

アーティスト・ファイル2011──現代の作家たち

2011年06月15日号

会期:2011/03/16~2011/06/06

国立新美術館[東京都]

内外8作家が出品。特定のテーマを設けず、いま注目すべき作家を紹介するというコンセプトなきコンセプトのアニュアル展だが、絵画あり陶芸あり写真あり映像ありインスタレーションありと作品は多彩で、それぞれオリジナリティは高い。たとえばクリスティン・ベイカーの具象とも抽象ともつかない荒々しいタッチの巨大絵画。まるでカーレースの事故を思わせる破壊的イメージや、ジェリコーの《メデュース号の筏》を参照したとおぼしき図像が、表面が湾曲したツルツルの合成樹脂の上に描かれていたりして、それが成功か失敗かはともかく、果敢な試みであることは認めたい。というか、もはやこんなところでしか差別化が図られなくなってしまったのか。タラ・ドノヴァンも、100万本はありそうな透明なストローを壁面に沿って積み上げ、ところどころ出っ張らせたインスタレーションをつくっていて、アイディアとしては感心しないけど、それだけに真似するヤツもいないだろうという「独走性」は感じさせる。それらにはさまれて松江泰治の写真とビデオは一見おとなしく映るが、その質の高さは圧倒的だ。やはり基本に忠実なアートこそ人の心に残るし、歴史にも残ると思う。

2011/05/02(月)(村田真)

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