2019年06月15日号
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artscapeレビュー

思想地図β vol.2 緊急出版 東日本大震災と思想の言葉シンポジウム「東日本大震災とこれからの思想」

2011年06月15日号

会期:2011/05/21

せんだいメディアテーク 1Fオープンスクエア[宮城県]

朝に仙台駅で思想地図のメンバーを出迎え、彼らとともに市内の被災地をまわる。卸町のエリアは、津波が届かず、純粋な地震の被害によるもので、完全倒壊や部分破損の倉庫やオフィスなどが目につく。東浩紀は、見えるものをすべて読む習性のせいか、街の風景の「がんばろう東北」の文字があまりに多いことに驚いていた。多賀城や仙台港のエリアは一カ月半前に比べ、だいぶクルマが片付いている。蒲生の廃墟は門や塀だけが残り、ポンペイのような風景だった。まわりから見ると、唯一高台の中野小学校と荒浜小学校を訪れる。いずれも二階まで浸水し、体育館は避難場所として機能していない。構造は大丈夫だったが、人がいない街の学校になっている。
さて、思想地図のシンポジウムだが、東は福島の小学校で目撃した時間の断絶、瀬名秀明は被災地と東京の距離や情報過多への戸惑い、石垣のり子は非常時に刻々と変動したラジオの役割と状況、鈴木謙介は経済では計算できない失われた時間の流れなどについて話す。東は、今回の一連の出来事を記録し、海外でも読まれるために翻訳を出すという。終了後、せんだいスクール・オブ・デザインの『S-meme』2号の特集「文化被災」のために、東浩紀にインタビューを行なう。もともと作品の強度を失いながらも、コミュニケーションのネタとして盛り上がりを持続していたアニメを代表とするオタク・サブカルチャーが、3.11以降は厳しい状況になるだろうとの見解を示す。

2011/05/21(土)(五十嵐太郎)

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