2019年11月15日号
次回12月2日更新予定

artscapeレビュー

東日本大震災:岩手

2011年06月15日号

会期:2011/05/28~2011/05/29

釜石、大槌町、宮古市、田老町、津軽石、山田町[岩手県]

岩手県の被災地をまわる。釜石は、気仙沼の風景と似ている。驚かされたのは、400m以上の長さがあるエヌエスオカムラ工場が、途中でばっさりともぎとられていたこと。そして魚市場横に乗り上げた巨大なアジア・シンフォニー号である。北上すると、鵜住居あたりは、津波が川を逆流し、直接海が見えないエリアに甚大な被害をもたらし、一部のRC造以外はことごとく消えていた。大槌町は、自衛隊が多かったこともあるが、焼け跡の廃墟になっており、戦場のような風景だった。大槌川を渡る山田線の橋梁と橋脚が、街のあちこちに転がる。要塞に守られたはずの赤浜も浸水し、モニュメントとして残すことも検討されていた民宿の屋根に乗っていた船、はまゆりはちょうど解体中だった。大槌町は、女川、陸前高田に匹敵するひどい建物破壊である。宮古や山田町も防潮堤に守られ、海があまり見えない街だったが、街が激しくやられていた。そして田老町でも、津波が有名なスーパー堤防を突破している。海辺では堤防が崩れ、散乱した巨大なコンクリートの塊に海鳥が集う風景は、終末を描くSFのシーンのようだ。いずれの町も堤防やサインなどによって、宮城県や福島県以上に津波の対策を行なっていたが、防御できなかったことを知る。

2011/05/28(土)~29(日)(五十嵐太郎)

2011年06月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ