2019年09月15日号
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artscapeレビュー

五百羅漢

2011年06月15日号

会期:2011/04/29~2011/07/03

江戸東京博物館[東京都]

震災の影響で3月15日のオープンが1カ月半ほど遅れた待望の展覧会。幕末の絵師・狩野一信によって描かれ、芝増上寺に秘蔵されてきた「五百羅漢図」全100幅を一挙公開するというのだ。これまでも西洋化した開国期の日本絵画とか、幕末の奇想画とかいった文脈で何点か展覧会に出されたことはあるけれど、一挙公開は初めてのこと。業火に包まれる地獄、匂い立つような餓鬼、血まみれの死体などを細密に、極彩色で、ときにハンパな遠近法や陰影表現を用いて描いている。そんな絵が100幅も並んでいる(凝ったインスタレーションだ)から壮観きわまりない。若冲、蕭白、北斎ら奇想の系譜のまさに正当な後継者というべきか。展覧会を監修した山下裕二氏の解説も「さながら『朝まで生テレビ』である」とか「一信のアドレナリンは最高潮に達している」とか「羅漢ビーム」とか「キリンビールの『麒麟』のようなもの」とか「『羅漢建築事務所』から『羅漢工務店』に発注された寺院の建設」とか、解説の域を超えて絶好調、もう好き放題書いている。やっぱり企画監修者が楽しめなきゃ展覧会は楽しくならないよ。

2011/05/06(金)(村田真)

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