2019年07月15日号
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artscapeレビュー

直江沙季「どんづまる」

2011年06月15日号

会期:2011/05/17~2011/05/29

GALLERY SHUHARI[東京都]

DMの写真と「どんづまる」というタイトルを見て、これは面白そうだと思って出かけてきた。インフォメーションにどの写真を使うのか、展覧会のタイトルをどうするのかというのはけっこう重要な問題なのだが、割にいいかげんに決めてしまうことが多い。大事なことなので、充分に留意すべきではないかと思う。
展示の内容はほぼ予想通り。まさに道が行き止まりになって「どんづまる」状況を丹念に採集した写真が30枚ほど並んでいた。このようなコンセプト先行の作品の場合、まずはそのコンセプトをどれだけきちんと成立させているかが問われてくる。直江のこの作品についていえば、カメラの位置、アングル、道とその行き止まりのスペースとの関係、薄曇りの光の条件などがしっかりとそろっていて、ほとんどブレがない。そのことによって、シリーズとしての完成度はかなり高いものになっていた。
ただある程度枚数がそろってくると、それから先が問題になる。次はちまちまとしたアパートが建ち並んでいるような、路地裏の行き止まりの場所を見つけては撮影していく行為が、さらに何かを生み出していく契機になっていくのかどうかが問われてくるだろう。現在の日本の都市の住環境について何かが見えてくるのか、それとももっと個人的な美学に収束していくのか。まだ先は長そうだが、この試みを続けていくことで、新たな発見や認識に結びついていくことを期待したい。

2011/05/24(火)(飯沢耕太郎)

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