2019年09月15日号
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artscapeレビュー

金沢寿美「38curtain」

2011年06月15日号

会期:2011/05/05~2011/05/22

遊工房アートスペース[東京都]

今年2月に愛知芸術文化センターで行なわれた「アーツ・チャレンジ2011」で、展望回廊のガラス窓にカーテンを吊ったインスタレーションを制作し、村田真に絶賛された金沢さんの個展。今回は「38カーテン」というから、またどこかから38枚もカーテンを集めて吊るのかと思ったら、38は朝鮮半島を南北に分ける38度線のこと。するとカーテンは民族を分断する「鉄のカーテン」ということになる。というと、ずいぶんハードなテーマに聞こえるかもしれないが、作品は緑のカーテンを使ったインスタレーションとアニメ、それに38度線付近を旅したときの日記。この38度線には南北に緩衝地帯があり、人が入れないので緑に覆われていて(鉄ならぬ緑のカーテン)、その緑のカーテンがどんどん広がって南北を覆いつくすというのがアニメの内容だ。エコロジーや故国の分断という問題をアートに引き寄せた旧西独のアーティスト、ヨゼフ・ボイスの活動を思い出させるが、ボイスのように政治的にならず、どこかメルヘンチックな軽さを備えているのが金沢らしいところだ。

2011/05/21(土)(村田真)

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