2019年09月15日号
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artscapeレビュー

昔のくらし 今のくらし

2012年04月01日号

会期:2012/01/24~2012/04/01

川崎市市民ミュージアム[神奈川県]

室内アンテナのついた四本足の白黒テレビ、青い羽の扇風機、畳にちゃぶ台、黒電話、足踏み式ミシン……。ミュージアム附属レストランではクジラの竜田揚げなど、昔の給食メニューを食べることができる。ついつい「三丁目の夕日」的な感傷に浸ってしまうけれども、本来の趣旨は小学校3年生が学ぶ「昔の道具とくらし」カリキュラムのための企画として毎年この時期に開催されている展覧会で、衣・食・住の移り変わりを実物資料で辿る。会期中には小学生の団体が訪れるが、おそらく大人たちとはまったく異なる感想を抱くことだろう。
 授業のカリキュラムとしてつくられているので、コアとなる部分は毎年同じなのだが、それだけではなく、年ごとに異なる展示が設けられている。昨年の特集は学校給食。今年の特集テーマはふたつ。ひとつは夏を涼しく、冬を暖かく過ごすための生活の工夫。夏の団扇や扇風機、蚊帳や陶器の枕、冬の火鉢、湯たんぽや懐炉など。もうひとつは、病気や災害に備えるもの。消防団が使用していた手押しポンプ、纏、厄除けのお守りや薬箱など。いずれも昨年の東日本大震災をふまえて、節電や防災の知恵や工夫を過去に学ぼうというものである。歴史を見る眼は時代と密接に結びついている。そして危機にあってこそ歴史に学ぶことは多いのである。[新川徳彦]

2012/03/17(土)(SYNK)

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