2019年11月15日号
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artscapeレビュー

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2012年04月01日号

会期:2012/02/17~2012/03/15

TOHOシネマズ日劇[東京都]

生命の時間を貨幣に置き換えたSF映画。富める者がいつまでも若いまま半永久的に生存できる反面、貧しい者はわずか20数年しか生きながらえることができないという設定が、今日の新自由主義的な資本主義経済の暗部を巧みに照らし出している。若々しい美しさという特権、社会階層に応じて居住空間を切り分けるゲーティッド・シティ、生存のための労働が生命の時間を削るという究極的な逆説。今日の現代社会が抱える諸問題がこれでもかと言わんばかりに盛り込まれているため、この映画にはSFらしからぬ生々しいリアリティが醸し出されている。ただその一方で、惜しむらくは、物語がきわめて凡庸な筋書きに陥ってしまっているところ。『俺たちに明日はない』のような強盗劇はともかく、ボニー&クライドのような悲劇的な結末を巧妙に回避したうえで、安っぽい革命賛歌に終始しているのは、ハリウッド映画の限界というべきか、それともあくまでもフィクションに徹したというべきか。これでは、今日の恐るべき現実にとても太刀打ちはできまい。

2012/03/01(木)(福住廉)

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