2019年10月15日号
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artscapeレビュー

編集のススメ──世界にひとつの本棚

2012年04月01日号

会期:2012/03/23~2012/05/06

ATELIER MUJI[東京都]

本棚を見ればその人がわかる、と言われる。趣味の本、思想の本、娯楽の本……その人が何に、どのように関心を持っているのか、本棚は無言で語ってくれる。この展覧会でギャラリーに展示されているのは3つの本棚。それぞれに収められているのは、3人の編集者たち──鈴木芳雄(『ブルータス』エディトリアルコーディネーター)、矢野優(『新潮』編集長)、岩渕貞哉(『美術手帖』編集長)──の蔵書である。「編集」という仕事に焦点を当てたこの展覧会は、編集者の蔵書を公開することで、彼らが日常生活のなかでどのような情報に接しているのかを知ろうという興味深い試みである。
 ギャラリーの中央には、編集を知り実践するための本(ブックコーディネーター中西孝之によるセレクション)が置かれており、手に取ることができる。だれもが日常生活のなかで多様な情報に接するなかで、取捨選択を行なっているが、それを体系的に行なうための技術を学ぶための本である。3つの本棚には編集者とその知人からのコメント。本棚の本は背表紙を見ることができるだけであるが、それでも読み込まれていることがわかる本、丁寧に保存されている本、複数の同じ本など、本の使われかた、読まれかたがうかがえる。また、3人の本棚をならべることで、それぞれの関心のありかたや、読書のスタイルの違いも見えてくる。
 この企画では、無印良品の大きな本棚ひとつ分(段ボール20箱分)の蔵書をそれぞれの編集者が提供している。もちろん、これが蔵書のすべてではないだろう。となると、この本棚がどのように「編集」されたのかも知りたくなる。そして会期は5月6日までの1カ月半。ここに運ばれた本は、そのあいだ手元になくても困らない本ばかりなのか。本当にその編集者を知るためには、この本棚には何がないのか、なぜそれが選ばれなかったのかについてもよく考える必要があるかもしれない。[新川徳彦]

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