2019年10月15日号
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artscapeレビュー

笹岡啓子 写真展 Difference 3.11

2012年04月01日号

会期:2012/03/07~2012/03/13

銀座ニコンサロン[東京都]

地震と津波による被害は眼に見えるが、放射能によるそれは眼に見えない。同じ被害でも、じつに対照的な関係にあることを、笹岡啓子の写真は明快に写し出している。ほとんど同じ構図で切り取られた写真には、一方に凄惨な破壊の現場があり、他方にはのどかな山村風景がある。あまりにも落差があるため、しばらく見ていると目眩を覚えるほどだ。この視覚的なギャップは、地震と津波の被害に対しては情動的な支援を惜しまないにもかかわらず、放射能汚染に対しては見て見ぬ振りをしながら沈黙を守る昨今の日本社会における奇妙なねじれと正確に対応している。その意味で、笹岡の作品は被災地の写真でありながら、同時に私たち自身の写真でもあるのだ。

2012/03/08(木)(福住廉)

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