2019年07月15日号
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artscapeレビュー

ハギエンナーレ2012

2012年04月01日号

会期:2012/02/25~2012/03/18

萩荘[東京都]

谷中に建つ築50年以上のアパート「萩荘」で催されたグループ展。東京芸大の学生の住居やアトリエとして使用されていたが、この春の閉鎖と解体に先立ち、10人前後の若いアーティストたちが作品を展示した。室内にあるはずのカーテンを室外に、逆に室外に置かれている植木鉢を室内に設えたり、一部屋を丸ごと鳥小屋に改造して小鳥を放ったり、随所で工夫を凝らしていて、なかなかおもしろい。ただ全体的には控えめで、解体が決定しているという空間のメリットを十分に活かしきれていないようにも思った。このように居住空間を展示場に転用する展覧会は数多いが、無理にホワイトキューブに仕立てたとしても逆効果に終わることが多い。むしろ、東京・麻布のフランス大使館で催された「5th Dimention」展や大阪・西成の新福寿荘における「梅田哲也展」のように、解体を見越して破壊に破壊を重ねる作品のほうが、よく映える。自己の内発的な表現といえども、アーティストであれば、空間の質に応じてかたちを整える才覚も必要とされるのではないか。

2012/03/18(日)(福住廉)

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