artscapeレビュー
宮本佳明 展「福島第一原発神社~荒ぶる神を鎮める~」
2012年04月01日号
会期:2012/03/05~2012/03/24
橘画廊[大阪府]
1996年のヴェネチア・ビエンナーレ建築展で阪神淡路大震災の瓦礫を用いたインスタレーションを発表し、金獅子賞を受賞(磯崎新らと共同受賞)した宮本佳明が、福島第一原発をテーマに過激な提案を行なった。その内容とは、原発建屋に巨大な和風屋根を載せ、神社として祀るというものだ。事故現場を廃炉解体して消し去るのではなく、むしろ危険を明示しアイコン化することで、安全な保管と記憶の継承に努めるのである。技術や予算面のリアリティはともかく、原子力を荒ぶる神と捉えて祀る心情は日本人の宗教観に合致している。この提案をどう受け止めるかは人それぞれだが、極めて難しいテーマに真正面から挑む宮本の姿勢は評価されるべきだと思う。
2012/03/05(月)(小吹隆文)