artscapeレビュー
舘正明 sign
2016年05月15日号
会期:2016/03/29~2016/04/10
ギャラリー恵風[京都府]
色面と幾何学形態からなる舘正明の染色作品。ミニマル絵画のようなクールなたたずまいが特徴で、見ているこちらも居住まいを正してしまう。制作法はとてもシンプルで、刷毛に防染のロウをつけて規則的に塗るだけである。例えば正方形の場合、同じ幅で3段重ねにロウを塗るという具合だ。しかし、ロウになんらかの仕掛けを施しているのであろう。防染が完全ではなく、染料が薄っすら滲むことで地色とは異なる複雑なまだら模様の色面がつくられる。使用する染料は1作品あたり2色程度と少ないが、それでも深みのある豊かな色彩を表現しているのだから見事だ。以前から質の高い作品をつくる作家だと思っていたが、本展で改めてその完成度の高さを実感した。
2016/04/01(金)(小吹隆文)