artscapeレビュー
行千草「うつろうひび たそがれごはん」
2016年05月15日号
会期:2016/04/12~2016/04/17
ギャラリー恵風[京都府]
具象的な風景にパスタが混入することで異界が出現する。行千草の絵画作品を簡単に説明すると、このような感じだ。本展でも大阪の高層ビルの壁面から素麺流しのようにパスタが垂れている作品が出展されたが、同時に新傾向の作品もあった。ティーカップの中で女性が湯浴みしており、その周囲に洋菓子やペイズリー柄が散りばめられたものである。同作は、ペイズリー柄について調べるうち、その発祥の地はインドで、英国のペイズリー市で量産されたこと、インドと英国といえば紅茶、紅茶といえばティータイム、ティータイムといえば茶菓子といった具合に想像をつなげて描いたものだ。パスタの作品よりもモチーフに多様性があり、多義的な解釈ができる。伸びしろも大きいと思うのだが、今後も継続的に制作されるのか不明だ。次回の個展を注視したい。
2016/04/12(火)(小吹隆文)