artscapeレビュー
山岸俊之展「四十九日の空」
2016年05月15日号
会期:2016/03/28~2016/04/02
なびす画廊[東京都]
市川市に住む作者が江戸川の河原を撮った風景写真。といっても画面の大半は空に占められている。タイトルから察するに、個人的な体験に基づく作品かと思ったら、本人いわく「まるで四十九日を過ぎ彼岸に行ってしまった私が空から此岸をみているよう」な風景だという。そして「ごく見慣れた風景が永遠性を帯びる瞬間を常に待っている」と。写真は自作の額や大型カメラのフィルムを装填するフレームに入れ、破格の値段で分けている。新作を世に問うとか、独自の表現を追求するといった力みもなく、ましてや金もうけとは無縁の、もうひとつ別の貸し画廊の使い方。
2016/04/01(金)(村田真)