artscapeレビュー
田中功起 共にいることの可能性、その試み
2016年05月15日号
会期:2016/02/20~2016/05/15
水戸芸術館現代美術ギャラリー[茨城県]
水戸芸術館の芸術監督、浅井俊裕さんが亡くなり(享年54)、水戸市内でのお通夜に出席する前に芸術館に寄る。不謹慎だが、お通夜のついでに見に行ったのか、お通夜を口実に見に行ったのか、自分でもわからない。田中功起の新作《一時的なスタディ:ワークショップ#4 共にいることの可能性、その配置》は、一般参加者がファシリテーターや撮影チームらと6日間一緒にすごし、朗読、料理、陶芸などのワークショップやディスカッションを行なった記録映像を中心に構成されている。時間がないせいもあって映像はほとんどスルーしたにもかかわらず(時間があっても見なかったと思う)、また、10人以上が6日間を過ごした濃密な体験にまともに向き合う余裕(精神的にも時間的にも)がないにもかかわらず、展覧会の印象が予想以上に悪くなかったのは、映像や仮設壁、ワークショップでつくった陶器などの配置が、一見混沌としながらよく計算されていて美しく、随所に挿入される言葉が適切だったからに違いない。田中の意外に確かなデッサン力がうかがえる。
2016/04/19(火)(村田真)