2022年10月01日号
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artscapeレビュー

アキ・ルミ新作展「庭は燃えている」

2009年10月15日号

会期:2009/09/01~2009/09/29

ツァイト・フォト・サロン[東京都]

アキ・ルミはオノデラユキのパートナー。1990年代からオノデラと一緒にパリに活動の拠点を移し、制作を続けてきた。オノデラの仕事が先に国際的に評価されたので、どうしてもその陰に隠れがちだが、彼の繊細で緻密な作品世界の質は着実に深まりつつあるように見える。
今回のツァイト・フォト・サロンでの展示は、写真やドローイングをスキャニングして細かくつなぎあわせ、大画面に構成した作品が中心。基調になっているのは「庭」のイメージで、唐草模様や奇妙な魔術的な彫刻のようなオリエンタルな図像と、水、植物、稲妻などが絡み合い、図と地とが複雑に入り組んだ、混沌とした空間を形成している。その全体が赤い色で統一されているので、さらに魔術性が強まっているようだ。彼が生み出そうとしている世界像がどんなものなのか、まだ明確に見えてきているわけではない。だが同時に展示されていたドローイング作品も含めて、勝手に増殖していくイマジネーションの広がりを、断面図のように定着しようとする意図が伺える。オノデラユキの作品が、どちらかといえば明快な論理的構築力を感じさせるのに対して、アキ・ルミの方は触覚的で、感情の震えが生々しく露呈している。つまりこの二人は、女性─男性原理、男性─女性原理という転倒した関係性を保って仕事をしているわけで、そのあたりが妙に面白い。

2009/09/15(火)(飯沢耕太郎)

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