artscapeレビュー

竹内昌義 他『未来の住宅』

2009年10月15日号

発行所:バジリコ

発行日:2009年8月21日

刊行直後から、本書には追い風が吹いている。民主党の鳩山首相が、CO2など温室効果ガスを25%削減するという大胆な目標を掲げたからだ。まさに、このテーマを建築界がどのように受け止めるべきかを考えたのが、本書である。サブタイトルは、「カーボンニュートラルハウスの教科書」。CO2を排出しない家ということだ。竹内昌義は、そのために必要なことは、徹底的な省エネルギーをはかること、そして化石燃料ではなく、再生可能エネルギーを使うことだという。本書は、質疑形式を用いながら、わかりやすく、断熱やデザインなど、具体的な方策を開示していく。そして森林を手入れしつつ、日本の木材を使うことが推奨される。それは伝統的な建築の姿に重なるからだ。妹島和世の設計した《梅林の家》の施主が登場するのも興味深い。また本書は、200年住宅にも疑問を投げかける。

2009/09/30(水)(五十嵐太郎)

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