artscapeレビュー
Masahiro Ikeda School of Architecture/MISA
2009年10月15日号
[東京都]
展覧会ではないが、注目すべき出来事として紹介したい。構造家の池田昌弘が学長となって、元新建築編集者の佐藤勤とともに、次世代の構造設計のスペシャリストを育成するための学校を開校する。2年制の本科と1年制の専科からなり、大学や実務では学ぶことのできない、建築設計・構造設計者が必要とする力を養うという。募集は10月1日からはじまっており、2010年4月に開校予定。講師は建築界の第一線で活躍する建築家・構造家・批評家らであり、池田氏自身も教壇に立つという。カリキュラムはレクチャー中心の講義科目(思想・理論・設計)と実務演習(I、II、III)に分けられる。
構造家養成専門の学校というのは、おそらく日本ではじめてのタイプの試みではないか。また学校でありながら、一級建築士事務所登録をしているという点も特記すべきかもしれない。建築士法改正後、資格取得に時間がかかるという問題は大きい。大学を卒業後に、実務経験をとるか、さらに学ぶかという選択肢は、誰もが考えるところであろうが、MISAでは、実務実習が建築士試験の受験資格要件の実務経験に該当するということで、学びながら実務経験を得ることができる。ある意味「設計事務所の大学化」がなされているのだともいえ、今後の建築実務と建築教育のバランスを考える上でも、重要な試みとなるのではないか。来年以降の展開がどうなるのか、期待を持って注目したい。
URL:http://www.ikedaatelier.com/misa.html
2009/09/30(水)(松田達)