artscapeレビュー

TOKYO PHOTO 2009

2009年10月15日号

会期:2009/09/04~2009/09/06

ベルサール六本木1F・BF[東京都]

日本初の国際フォトアートイベント。アートフェアの写真版とも言える、写真作品や写真集の販売を目的とする展示会。ベルサール六本木の地下で開かれ、1階では「PHOTO AMERICA」展が同時開催されていた。写真について、筆者は専門外であるので、建築家の山口誠による空間デザインについて触れたい。1階は低めの白い壁が中央に田の字に配置されており、自然光が空間全体に行き渡るよう考慮されていた。メイン会場である地階は、白と黒の壁が交互に配置され、光のコントラストを表現していた。山口氏は写真にとってもっとも本質的な要素である「光」をテーマにしたという。大空間は、平行に並ぶ、高さ3.6mの壁によって短冊上に区切られる。一筆書きの動線は会場を一周するあいだにすべてのブースに接するが、動線は少しずつ左右に振れながら進むので、むしろ動線をめぐる観客をブースに振り落とすことになる。よって観客は無意識の内にさまざまなブースを見るように設計されている。またそれぞれのブースは白壁か黒壁を与えられ、高さのある壁によって雑多になりがちなアートフェアにおいて、展示物がゆったりと並べられている印象がつくられていた。また壁の隙間から、瞬間的にかなり奥まで見えるよう、壁の配置が計算されていた。
一階と地階のプランニングを見て、山口氏の処女作である《中山の住宅》のプランニングを思い出した。そこではまっすぐに抜ける中央の土間が複数の空間を横断していたのであるが、今回のプランニングはその発展系とも思えた。書き割り的プランであり、一見まっすぐな動線は見えないのであるが、会場のある位置からは最奥まで見通すことのできる視点が確保されていた。

展覧会URL:http://www.tokyophoto.org/
写真提供:山口誠デザイン

2009/09/04(金)(松田達)

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