artscapeレビュー
Archi-TV2009事前ワークショップ
2009年10月15日号
会期:2009/09/11~2009/09/12
建築会館、銀座[東京都]
構造家の佐藤淳氏の指導のもと、素材と身体をテーマに行なわれた二日間のワークショップ。二つの学生グループが、それぞれ木の枝とアルミという二つの素材をもとに、人間の入れる程度の自立したオブジェクトを実際につくった。Archi-TVは、日本建築学会主催の建築文化週間のイベントのひとつである。毎年24時間ワークショップなど、さまざまな企画を関東圏の複数の学生が実行委員会となって企画する。今年のテーマは「1/1のリアル」であり、9月の事前ワークショップはその前哨戦ともいえる。「枝」の方は腰掛けられる部分を含んだドーム形状で、金物や紐などで一切縛ったりせずに、枝のみの絡み合いで外に広がろうとする力に抵抗させた。「アルミ」の方は、薄いアルミ箔をホッチキスでとめながら継ぎ接いでいくことで、通常の建築物ではありえないほど薄い壁による三連ドーム形状を自立させた。素材の構造的可能性を展開する興味深いワークショップだった。
そのあと、銀座に野点空間をつくるというコンペが開かれ、10月4日に1次審査が行なわれた。10月10日、11日には、本番の24時間ワークショップにおいて制作をし、最終審査が行なわれ、10月25日には銀座の銀茶会において、実際に野点空間が実現するという流れである。昨年のArchi-TV 2008が全国のさまざまな学生グループに参加を求めた、地理的な広がりを見せる学生イベントだとすれば、今年は本番の前後に時間的な広がりを見せる学生イベントであるといえる。
イベントURL:http://architv2009.net/
写真提供:ArchiTV2009実行委員会
2009/09/12(土)(松田達)