2022年10月01日号
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artscapeレビュー

河合菜摘個展(漆)「残像」

2009年10月15日号

会期:2009/09/15~2009/09/20

立体ギャラリー射手座[京都府]

タイトル通り、まぶたの奥に焼きついた“残像”のような風景が漆のキューブの表面にうっすらと見える。聞くと、自作のカメラオブスキュラをつかって漆の表面に焼き付けた写真なのだそう。つやつやとした漆黒の表面にライトの光が反射して、角度によってはどんな風景なのか確認しづらくもどかしい。けれど、それがかえって画像の光景をより幻想的に見せていた。「漆黒の中に風景を閉じ込める」と作家のコメントが記されていたが、まさに、遠くに見える光に向かってトンネルの暗闇を進むかのように、漆黒の画面の奥へ奥へと誘われる。漆といえば、蒔絵や螺鈿といったキラキラした装飾が施されるイメージがあるが、写真というのが新鮮だ。そこはかとない奥行きを感じさせる黒に絵や像が突如浮かび上がるという漆のドラマチックな要素もさることながら、その特性を見事に掴んだ表現で、今後の発表も楽しみだ。

2009/09/20(日)(酒井千穂)

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