artscapeレビュー

2011年08月15日号のレビュー/プレビュー

被災地につくる「みんなの家」アイディアスケッチ展

会期:2011/07/29~2011/08/18

せんだいメディアテーク 1階[宮城県]

せんだいメディアテークと伊東豊雄ミュージアムで同時開催の「被災地につくる『みんなの家』アイディアスケッチ」展にて、フランク・O・ゲーリー、ザハ・ハディド、アトリエ・ワン、千葉学、妹島和世、西澤立衛、小学生、建築学生らに混じって、五十嵐研の南相馬市プロジェクトが展示された。意図的に子どもの絵の発表会のような方法で、それぞれのスケッチを並べていた。巨匠も子どももフラットに扱うやり方が、まさに「みんな」というテーマをよく示す。

2011/07/30(土)(五十嵐太郎)

冨倉祟嗣 展

会期:2011/07/18~2011/07/30

Oギャラリーeyes[大阪府]

自宅の植木鉢を持ち上げたとき、その鉢底と地面の間で生きている虫がいたことを知り、新鮮な驚きを味わったことがあるという冨倉。普段は目にすることのない境界的な世界(を覗きみたときの感動)にアプローチするその絵画作品は、時間的な奥行きをともなって見る側の記憶をも刺激し、物語の想像を掻き立てる。《ブルーシート》《ケミカル菓子》《ぼうしパン》など、身近な食品や道具を想起させる色彩イメージとタイトルもじつに愉快。まだはっきりとは意識がない寝起きのひとときのような、不思議な作品世界が魅力的だ。

2011/07/30(土)(酒井千穂)

堂島リバービエンナーレ2011「ECOSOPHIA──アートと建築」

会期:2011/07/23~2011/08/21

堂島リバーフォーラム[大阪府]

大阪の堂島リバーフォーラムで、第2回目となる「堂島リバービエンナーレ2011」が開催されている。青森県立美術館チーフ・キュレーター、飯田高誉氏をアーティスティック・ディレクターに迎えた今回は建築とアートがテーマ。自然環境、社会環境、人間の心理の三方向から、新たな自然観や未来の地球というヴィジョンを提示するという内容で、地圏、水圏、気圏という領域にわけられた会場に16組のアーティストの作品が展示されている。第1回目の華やかな会場の印象と比べれば、やや固い雰囲気にも感じられたが、われわれの身体の延長にある建築とアートのさまざまな関係を見せる今展は、目先の未来ではなく、まずわれわれの現在までの生き方や考え方そのものを問うものでもあった。会場はたいへん暗いが、それだけに各々の作品とテーマを咀嚼しながらじっくりと鑑賞しやすい雰囲気。

2011/07/30(土)(酒井千穂)

NEXT - TWS10年!

会期:2011/07/07~2011/10/02

トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都]

ワンダーサイト開館10周年記念展。遠藤一郎、永岡大輔+松本力、寺澤伸彦、オル太らが作品を出しているのだが、3月の大震災を意識しすぎたのか結局なにがやりたいんだかよくわからない。唯一納得できたのは、震災に関係ない心臓みたいなイモ(イモみたいな心臓?)をつくったオル太のみ。と書いて気づいたけど、イモみたいに地中に心臓があったら地面も揺れ動くわね。

2011/07/30(日)(村田真)

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シンポジウム「アートの再生・アートの新生『3.11以降の世界とアート』」

会期:2011/07/31

3331 Arts Chiyoda[東京都]

3331アーツ千代田の「Emerging#1」展シンポジウム「アートの再生・アートの新生」に出席した。メンバーは、浅田彰×五十嵐太郎×石山修武×椿昇×千葉雅也、そして司会は後藤繁雄である。まだあまり発表されていない、石山さんの311以降の気仙沼と唐桑のプロジェクトを初めてきく。やはり、メモリアル系の提案がある。討議では、今の時代においてモニュメントをつくることは避けるべきという意見が強く、ここではAAPAのパブリックアート志向とはだいぶ違うスタンスが認められた。・終了後、浅田さんに誘われ、千葉さんとともに、中国帰りの磯崎さんの家を訪れた。先日、80歳を迎えた磯崎さんを祝いつつ、311以降の展開を踏まえた海外の劇場計画や、黒川紀章から引き継いだ中国での仕事など、近況をうかがう。福島への転都プロジェクトの背後にある首都の神話的構造線についても熱く語ってくれた。

2011/07/31(日)(五十嵐太郎)

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