artscapeレビュー
2011年10月15日号のレビュー/プレビュー
ニューアート展 NEXT 2011「Sparkling Days」
会期:2011/09/30~2011/10/19
横浜市民ギャラリー3階展示室[神奈川県]
「今日の作家展」がいつのまにか「ニューアート展」に変わったと思ったら、今年から「ニューアート展NEXT」に更新された。どうせなら「アートネクスト」に縮めたらどうだ。出品作家は荒神明香、曽谷朝絵、ミヤケマイの女性3人。荒神は広い部屋にスパゲティ(もちろんゆでる前の)で家や山の輪郭をつくり、それらを組み合わせて空中楼閣のように天井から吊るしたインスタレーション1点。その宙吊りにされた風景は危うく、はかない。実際、何日もかけてこの場でつくり、終わったら撤去して影もかたちも残らないのだ。でもなんでスパゲティなの? 素材と内容にギャップが感じられる。曽谷はここ10年ほど描きためた虹色の絵画のほか、天井の高い一室でカラフルなシートを波紋状に切り抜いて壁や床に貼りつけたインスタレーションも発表している。シートに反射した光が壁や天井に映り、とても美しい。網膜で勝負。ミヤケはレリーフ状のフィギュアをボックス型の額に収めたり、通路にインスタレーションしたりといろいろ工夫しているが、基本的に工芸的。でも出品点数がハンパでなく、あとのふたりを圧倒している。その意欲は見習いたい。
2011/09/30(金)(村田真)
建築同人誌『ねもは02+』刊行記念イベント「建築プレゼンテーション」
会期:2011/09/30
UPLINK FACTORY[東京都]
渋谷のアップリンクにて、UIAの関連企画としてケンチク映像祭+『ねもは02+』刊行記念イベントを行なう。フルに完成した『ねもは』の2号は、全416pで図像資料満載。学生の同人誌でこれを超えるのは難しいだろう。いや、「学生の同人」を外しても、なかなかのクオリティといえる。この自由な図版の感じは今風というよりも、かつての雑誌の勢いを思い出す。五十嵐への5万5千字インタビューも収録している。しかも震災により図書館がしばらく使えなくなり、教室も研究室も失った劣悪な環境にもかかわらず、この雑誌がつくられたことに驚く。
2011/09/30(金)(五十嵐太郎)
建築系ラジオ・ブースの「台湾若手建築家展」/大西麻貴+百田有希 展
新・港村(新港ピア)[神奈川県]
新・港村にて、謝宗哲さんがキュレーションした建築系ラジオ・ブースの「台湾若手建築家展」と、U-35ギャラリーにて筆者が推薦して選ばれた「大西麻貴+百田有希展」を見る。前者は村上春樹の『1Q84』に着想をえたリトルピープル・アーキテクツの作品を紹介し、後者は二重螺旋の家を展示するが、全体の会場構成がオリジナルの空間の雰囲気を再現しており、秀逸である。
2011/09/30(金)(五十嵐太郎)
プレビュー:ULTRA AWARD 2011 EXHIBITION
会期:2011/10/08~2011/10/23
世界で活躍できる〈次代のウルトラアーティストを発掘、育成する〉という京都造形芸術大学・ウルトラファクトリー主催の、在学生、卒業修了生を対象にしたコンペティション「ULTRA AWARD」。今回は大島真悟、神馬啓佑、高井裕、土井祐介、王婷瑩の5名が選出された。7月からの約4カ月間の公開製作期間を経てそれぞれ最新作を発表する。また、浅田彰、長谷川祐子、後藤繁雄、ヤノベケンジ、椿昇、名和晃平という審査員により、展覧会場での公開審査会で最優秀賞が決定。注目を集めそうだ。
2011/10/14(金)(酒井千穂)
プレビュー:FANATIC MONOCHROME
会期:2011/10/17~2011/11/05
「絵画」「写真」「映像」などの「基軸的な色彩構成及び表現」として続いてきた「白と黒=光と影」のモノクロームの美術表現にスポットを当てる。美術史におけるモノクローム表現を再考しようというもので、今展では、グラフィック、ペン画、水彩画 、書、墨画、版画、写真という7つの表現領域から「2000年代以降」を考える。出展作家は、川上俊、廣川恵乙、野嶋革、宮本佳美、宮村弦、横山隆平、吉田翔。11月5日には出品作家5名によるギャラリートークも開催される。
2011/10/14(金)(酒井千穂)