リー・ミンウェイとその関係展:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
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リー・ミンウェイとその関係展

2014年10月15日号

会期:2014/09/20~2015/01/04

森美術館[東京都]

台湾出身でニューヨーク在住のアーティスト、リー・ミンウェイの個展。と思ったらジョン・ケージ、イヴ・クライン、小沢剛らの作品もある。リーひとりじゃ埋めきれなかった、というわけではなく、リーの作品をよりよく理解するための助っ人として参加してるようだ。裏返せばリーの作品だけじゃ理解に苦しむってことらしい。彼の作品は「リレーショナルアート」とか「関係性の美学」とか呼ばれるもので、観客が参加することで初めて成り立つ作品だが、作品を完成させることより、そのプロセスで人々と会話したり、さまざまな関係性を築くことを目的とする。たとえば《プロジェクト・繕う》では、観客が持ち込んだ衣類をアーティストやホストが会話しながら繕い、壁面の糸とつなげていく。この場合、衣服を繕うことが目的ではなく、繕う行為をきっかけに相手とコミュニケーションし、そのつながりを視覚化してみせることが重要なのだ。また《ひろがる花園》は、細長い容器に差した花を観客が受け取り、それを帰り道に見知らぬ人にあげるというもの。こうして未知の人と知り合い、友だちの輪が広がっていく……と書きながらむなしい気分に襲われる。いったいだれがそんなゲームに参加するのだろう。見知らぬ他人とコミュニケーションしたい人間なんているのか? よっぽど寂しいのかノーテンキなのか、いずれにせよぼくはお友だちになりたくないなあ。まあそれは趣味の問題だからいいとして、興味深いのはこういう「作品」を美術館で紹介する時代になったということだ。そもそもリレーショナルアートなんてものは、美術館という制度内では実現できない生のコミュニケーションを求めて外の世界に広がりを見せてきたはず。それがちゃっかり美術館に収まってしまうというのはいかがなものか。だいたい美術館でのコミュニケーションなんて出来レースみたいなもんだし。こんな展覧会を企画した美術館も美術館だが、そんな話に乗ったアーティストもアーティストだ。ま、それだけにチャレンジングな企画だっていえないこともないけど。

2014/09/19(金)(村田真)

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