artscapeレビュー

水野悠衣個展 One Scene

2014年10月15日号

会期:2014/09/16~2014/09/21

KUNST ARZT[京都府]

モザイク映像のようなイメージの色面で構成された抽象絵画作品が展示されていた。一点ずつのイメージには実際にモチーフとしたものがあるそうなのだが、水野はその具体性を削ぎ落とした表現に取り組んでいる。麻紙、水干絵具、雲母、胡粉など、日本画の手法で描かれているこのシリーズ、画面に描かれたひとつずつの要素は並列しているが、等間隔のグリッド状というわけでもなく、反復や連続のなかに、図と地を想像させる余地があり、物事が移り変わっていく時間の連想を掻き立てるのが素敵だ。画材の特性も活きた趣きとあじわいのある美しい作品だった。

2014/09/19(金)(酒井千穂)

2014年10月15日号の
artscapeレビュー