2018年10月15日号
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artscapeレビュー

チューリヒ美術館展─印象派からシュルレアリスムまで

2014年10月15日号

会期:2014/09/25~2014/12/15

国立新美術館[東京都]

今年は日本とスイスの国交樹立150周年を記念してスイス関係の展覧会が次々と開かれてきたが、「チューリヒ美術館展」はその集大成ともいうべきもの。スイスはドイツ、フランス、イタリアという大国に囲まれてるせいか、文化も国民性も一筋縄ではいかない。芸術家も、今年紹介されたバルテュス、ヴァロットン、ホドラーと異色の画家たちを輩出しているし、小国とはいえ、あなどれない国なのだ。同展の目玉は、モネの大作《睡蓮の池、夕暮れ》で、ほかにもドガ、セザンヌらも出ているから、上のフロアでやってる「オルセー美術館展」と合わせて見るといいかも。でもなんといっても興味深いのは、数点ずつ出ているセガンティーニ、ホドラー、ヴァロットンらスイスの画家たちだ。セガンティーニはイタリア生まれだが、アルプスの風景を幻想的に描き出したことで知られる。その明るい描写は印象派に近いが、細かいタッチを重ねていく描法は点描派ともいえるし、神秘主義的な物語性を感じさせる点では象徴主義ともいえる。そのとらえどころのなさがなんともいえない魅力だ。ホドラーはもう国立西洋美術館で回顧展が始まってるはずだが、ちょっと心を病んでいるんじゃないかってくらい左右対称の画面に固執した画家で、6点も出品している。回顧展のほうも楽しみだ。先月まで三菱一号館でやっていたヴァロットンも4点あって、淫靡な雰囲気の漂う室内画や女性ヌード、大胆な構図の風景画などよく似た作品が出ているが、海景を左右対称に描いた《日没、ヴィレルヴィル》などはホドラーそっくり。ほかにもクレーやジャコメッティなどスイス出身者が出ていて、独自の美学を開陳している。

2014/09/24(水)(村田真)

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