2018年06月15日号
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artscapeレビュー

ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 「遠く」へ行きたい

2014年10月15日号

会期:2014/09/13~2014/11/09

東京ステーションギャラリー[東京都]

もう20年以上も前のこと、電通総研の知人に誘われて、たしか東銀座にあった藤岡和賀夫氏の事務所に遊びに行ったことがある。知人に「ディスカバー・ジャパンを仕掛けた人」と教えられたが、事務所は資料がきちんと整理されていてあまり仕事の匂いがしなかった。その日はさまざまなメディアの編集者たちが集ったので、きっとサロンのような場なのだろう、一発当てると20年後もこんなに優雅にすごせるのかとノンキに思ったものだ。その藤岡氏がプロデュースした「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンを、いまいちど「ディスカバー」しようという展覧会。展示は、藤岡氏の手がけたゼロックスのテレビCM「モーレツからビューティフルへ」に始まり、「ディスカバー・ジャパン」の新聞広告、テレビCM、国鉄のポスター、『アンアン』の旅行記事、時刻表、周遊券、駅に置かれたスタンプ、駅弁の包み紙、そしてテレビ番組「遠くへ行きたい」まで、実に多岐にわたっている。これを見ると、ぼくがどれだけこの「ディスカバー・ジャパン」にお世話になったか、というより乗せられたかがよくわかる。70年代初め高校生だったぼくは、休みごとに周遊券を使って東北、北陸、九州などを旅していたが、これは明らかにテレビ「遠くへ行きたい」に感化されてのことであり、CMの国鉄のキャンペーンに乗せられたものだった(カタログでも言及されてるが、「遠くへ行きたい」という番組自体が国鉄のCMだったともいえる)。それとは別に、高校は図らずもデザイン科を選んでしまったために、参考資料として創刊されたばかりの『アンアン』をいとこの女子大生から譲り受け、そのなかの旅の記事にも多いに刺激を受けていた。ということを、この展覧会を見ていまさらながら認識した次第。そっか、ぼくの人生の何分の一かは(少なくとも10パーセントは)藤岡和賀夫氏が決定づけたのかもしれない。

2014/09/28(日)(村田真)

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