artscapeレビュー
ZAHA HADID EXHIBITION AT PALAZZO FRANCHETTI
2016年10月15日号
会期:2016/05/27~2016/11/27
PALAZZO FRANCHETTI[イタリア、ヴェネチア]
パラッツォ・フランケッティのザハ・ハディド展が素晴らしかった。これまで肩の力を抜きならがも効果的に見せる彼女の展示を幾度か見ていたが、ニューヨークのグッゲンハイム美術館の個展のように、今回は全開で作品を紹介している。ちなみに、グッゲンハイムは床がスロープで、よく美術関係者から悪口を言われるが、ザハはだったらこうすればと言わんばかりに、前衛的なドローイング群を斜めにかけてみせた。今回は、一枚毎に新しい表現形式を創造していく初期の手描きドローイングが集合し、またスタディの模型なども数多い。デジタルになってからは絵の魅力はなくなるが、現物の迫力がすごい。そしてロボティクスと連動したデザインの前線も紹介している。アメリカ館やイスラエル館は同傾向だったが、結局ザハの方が美しい。正直、ジャルディーニ全体の展示より、20世紀最後の巨匠ザハの個展の方が面白かったが、これは彼女のデザインが展覧会と相性がよいことも大きいだろう。表象形式の創造とデザインの更新が分かち難く結びつくからだ。なお、ひどい目にあった新国立競技場案は展示から外されていた。
写真:左・右上2枚=ザハの展示、右下=アメリカ館の展示
2016/09/12(月)(五十嵐太郎)