artscapeレビュー
大山エンリコイサム Present Tense
2016年10月15日号
会期:2016/08/20~2016/09/24
タクロウソメヤコンテンポラリーアート[東京都]
グラフィティにインスパイアされたペインティングとドローイングの展示。特にジグザグに蛇行する「クイック・ターン・ストラクチャー」と呼ばれるパターンが多いが、新作では腕をぐるっと回して描いた円をベースにしたペインティングが際立つ。まるでレオナルドの《ウィトルウィウス的人体図》みたいだが、これは腕のストロークを生かしたグラフィティの基本ともいえる。つーことはレオナルドもグラフィティの曾祖父くらいになるのかも。でも大山のそれはポロックとの親近性も強く、とりわけ小さめの黒一色で描かれた(撒かれた?)ドリッピング絵画を思い出す。ただドリッピングは寝かせた画面に直接筆をつけずに絵具を撒くので、純粋な腕のストロークとは違う。その意味ではむしろ、アクション・ペインティング以前の絵筆を使った横長の大作《ミューラル》に近いかもしれない。
2016/09/21(水)(村田真)