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没後110年 カリエール 展

2016年10月15日号

会期:2016/09/10~2016/11/20

損保ジャパン日本興亜美術館[東京都]

カリエールって地味であまり人気はないけど、けっこう好きな画家。1849年生まれだから印象派やポスト印象派と同世代で、ぼんやりとした画風も印象派に近いが、ほとんど色彩がなく印象派でもポスト印象派でもない。しばしば象徴主義に括られるけど、描いてるものは身近なモチーフが多く世俗的。しかもモノでも光でもなく、そのあいだにある空気を描いてるような印象だ。また、顔などに焦点を合わせて服や背景をぼかし、色彩もほぼセピア色である点は写真を意識したのか。あえていえばフェルメールに近い。そんな微妙な立ち位置もあるのか、作品を見る機会は少なく、10年前に西洋美術館で開かれた「ロダンとカリエール展」以来だ。ちなみに作品の大半は画家の子孫にあたるフランスの個人コレクションと、新潟市美術館から借り入れたもの。カリイレール展、なんてね。

2016/09/09(金)(村田真)

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