artscapeレビュー

第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 アルセナーレ地区

2016年10月15日号

会期:2016/05/28~2016/11/27

[イタリア、ヴェネチア]

ビエンナーレのアルセナーレの会場へ。ジャルディーニと同様、西欧で難民問題が注目されていること、非西洋圏のプロジェクトが多いことが共通している。大空間を活用した素晴らしい展示(ペーター・ツムトアなど)も幾つかあったけれど、これまで8回見たヴェネツィア・ビエンナーレのなかで展示としてはパンチに欠けるという印象は否めない。「前線からの報告」のテーマが堅いというか、展示よりも本の方が向いているからだろう。また会場の照明が暗く、解説が必要な作品ばかりなのに、キャプションが読みにくいのは気になった。日本からは常連のアトリエ・ワン、隈研吾、坂茂らが参加したほか、安藤忠雄のプンタ・デラ・ドガーナの巨大模型も目立っていた。部屋の中のテーブルの上のお皿の上の食べ物までつくってしまう、日本館の模型もそうだったが、他国の展示と比べて、日本は手づくりによる模型の細かさが突出している。卒計イベントなどでも同じ傾向だが。

写真:左=アルセナーレ会場 右=ペーター・ツムトア、安藤忠雄

2016/09/13(火)(五十嵐太郎)

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