artscapeレビュー

古都祝奈良─時空を超えたアートの祭典─(ならまちアートプロジェクト)

2016年10月15日号

会期:2016/09/03~2016/10/23

ならまち[奈良県]

一泊して「ならまちアートプロジェクト」を見て回る。「八社寺アートプロジェクト」がエスタブリッシュされたアーティストによるものだとすれば、昔ながらの町家が残る「ならまち」を舞台にしたこちらは、おもに奈良や京都出身の7人の若手アーティストを特集した展示。前者とは場所も予算の掛け方も違うが、そんななかでも注目したのは西尾美也と宮永愛子のふたり。西尾はならまちの住人から古着を集め、矩形に裁断してつなぎ合わせ、パッチワークの家をつくって集会場にした。外したボタンは糸でつないで神社に展示。これはプロセスもさることながら、視覚的に美しい。宮永は古い木造の染物屋倉庫で、地面に染み込んだ染料を布に写し取り天井に張ってみせた。着眼点もインスタレーションも見事だが、残念なのは地面に置かれた台車や樽の跡を白く残していること。地面に置かれた物と天井に張られた布が天地対称になってわかりやすいのだが、実際に写し取ればこうはならないので、トリックに見えてしまう。惜しい。


西尾美也《人間の家》(撮影=筆者)

2016/09/04(日)(村田真)

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