artscapeレビュー
フィレンツェ
2016年10月15日号
[イタリア、フィレンツェ]
ヴェネツィアからフィレンツェへ。『磯崎新の建築談義』のインタビュー収録の前に訪れて以来なので、15年ぶりくらいだ。磯崎新のウフィツィ美術館のプロジェクトも止まったように、なかなか新しい建築が登場しない街なので、必然的に古典再訪となる。ミケランジェロによるサン・ロレンツォの新聖具室は、小さな空間だが、1時間以上滞在した。学部生時代の初訪問では『西洋建築史図集』の解説を確認するように見て、院生になってからはマニエリスムの構成の面白さを自分で理解するようになり、毎度新発見がある。今回は単眼鏡で観察したおかげで、細部までくっきりとわかるが、これは他の古典主義に比べて、異様に線が細く、精密なインテリア・デザインだ。
写真:新聖具室
2016/09/14(水)(五十嵐太郎)