artscapeレビュー
安藤栄作「約束の船・2016」
2016年10月15日号
会期:2016/08/19~2016/09/25
Gallery OUT of PLACE[奈良県]
帰りに奈良市内のギャラリーに寄ってみる。安藤栄作は福島県いわき市に住んでいたが、大震災により作品や家財を失っただけでなく、原発事故により移転を余儀なくされ、現在は奈良県に住んでいるという。展示はまず、ギャラリーの床にカヌーのような木の船が2隻。だが、どちらも片側が切れている。つまり2隻をつなげれば1隻の大きな船になりそうな感じ。壁には10~30センチ程度の木彫のヒトガタが数百、いや千はありそうなくらい貼りついている。ヒトガタといっても細長い紡錘形の上端が丸くなってるだけなので、かろうじて人のかたちであることがわかる程度。あるいは風化した円空仏か、包帯グルグル巻きのミイラか、羽化する前のサナギか、身体を切っても再生するプラナリアか。どれもアレゴリーとして悪くない。ほかにも脚のついたミミズや、髪の毛で立つ首像などもあって、けっこうオチャメ。
2016/09/04(日)(村田真)